きけわだつみのこえ

夏に観てから随分たってしまった。
昔公開されて間もない頃に観て以来。
戦後60周年だからか?なんとなく家族と戦争の話になって、思い出した。

長野県は全国でも、特攻隊員として出兵した人が非常に多い県だとどこかで聞いたことがあるが、どうなんだろう。
「きけわだつみのこえ」という本があるが、その本に「上原良司」という人の手記が掲載されている。太平洋戦争当時慶應大生だった上原良司は、特攻隊員として沖縄の海で戦死した。
その上原良司の生まれ育った町に、今私は住んでいる。
昔はそんな人の存在も知らなかった。ここへ住むようになって初めて知り、書簡や軍服その他の遺品を公開した「上原良司展」を見にいったりしていた。
だからまた観てみようと思った時、昔観た時と違う気持ちで観られるんじゃないかと思ったし、子供にも戦争と平和を考えてもらう良いチャンスかもしれないと思った。

劇中上原がモデルになった人物「芥川」を仲村トオルが演じている。
その他織田裕二、風間トオル、緒形直人、鶴田真由、的場浩二など、当時のいわゆる「トレンディ俳優」という人々が出演。

多分現代の若者に共感してもらいやすいように作られたのかもしれない。
多少さらりと流しているように見えるところもあったりする。ラストも。。妙に清々しい終わり方。
特に的場の役所などは、戦争を背景とした時代にいたとはとても思えない人間像になっている。まあ、それはそれでいいのかもしれない。

緒方の演じる鶴谷は,召集令状を無視して逃亡の道を選ぶ。
そのようなことが可能だったのかと疑問に思っていた。

ところがこの夏実際に、当人は志願したのだが、実の父が戦争へ行くことを猛反対し、行かせなかったという話を新聞で読んだ。地元と言っては語弊があるが、ここからそう遠くない町に住んでいる人だ。
「非国民」とののしられ蹴られ、村八分にされようとも断固として拒否した父親の気持ちを、当時その人は理解できなかったらしい。後になって彼は父親の行為と気持ちに深く感謝したという手記だった。



特攻隊として突撃する前に、故郷に帰った芥川(上原)は遺書として「特攻隊のパイロットは一機械にすぎぬ」「明日は自由主義者が一人この世から去っていきます」
と書いた。
自由主義の国アメリカが勝つ事は、火を見るより明かだと彼は残したそうだが。。
彼のように結果が分かっていた人ばかりではないだろうが、はっきりと悟っていながら特攻として飛び立たねばならず、生きて帰ることなど許されない。。。


そんな時代が確かにあったんだなあ。
それから60年が経ち、周りを見渡しても当時を思い起こさせるような事が殆どない世界に私たちは住んでいる。
とても信じられないけれど。。

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by suga_m | 2005-09-20 16:57 | 映画
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