2001年9月11日、ユナイテッド93便はサンフランシスコに向けニューアークを出発した。それはいつもと変わらない朝のはずだった。。
空を飛ぶ4500もの航空機の中の数機がハイジャックされたようだが、特定ができない。 システムが完全に崩壊し混乱する管制センターと軍関係者の一部は、当日実際にテロを体験した本人が演じ、国防総省と連邦航空局も全面協力の上制作にあたった。出演した俳優はそれぞれ実在の人物を演じており、演じるにあたりそれぞれの遺族と会って話をした。これらのことにより、徹底したリアリティを追求している。 いつ行動を開始しようかとお互いを見やるハイジャック犯と、これから何が起ころうとしているのか全く知る由もない乗客たち。機内の緊迫感が痛いほど伝わってきて、自分もまた乗客の一人になったかのような錯覚を抱く。 ドキュメンタリータッチで描かれるストーリーは、本来ならば憎むべきテロリストである機をハイジャック犯たちを「普通の人間」として映しており、あくまで客観的に描こうとした。 迷いはなかったのかといえば、嘘になるのだろうか。 彼等は犯罪のプロではない、愛する家族がおり愛する国がある。 彼等には彼等の正義があり、その正義を貫くために行動した。 大勢の人を道連れに死へとひたすらに飛び続ける93便は、「兄弟たち」が目的を達していく中、唯一目的を達することなく墜落した。なぜ93便は墜落したのか。その時乗客はどうしたのか。 『最後の6,7分機内で何があったかは、想像するしかない。しかし私のイメージしたあの日は、こうだった』 監督は誠実に「信ぴょう性のある事実」を描いたのだろうと思う。 偽物の爆弾で乗客を脅し、操縦室を占拠する。もう元には戻れない。「神よ守りたまえ」と祈りながら操縦桿を握る男の姿に、どうしようもなく悲しくなった。なぜだろう。どうしてそんな言葉を口にしながら、このようなことをしなくてはならないのか。 大切な人を失って、想像を超える傷と悲しみを背負ってもなお、人はまた同じ過ちを繰り返すのだろうか。。 せめてもう二度とこんなことが起こらないように祈りたい。 そしてまた今年も、あの日がやってこようとしている。
by suga_m
| 2007-09-07 21:17
| 映画
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