生きてこそ

1993年、イーサン・ホーク他。。

1972年10月、南米ウルグアイの学生ラグビーチームら45名を乗せた旅客機がアンデス山脈に墜落し、72日後に16人が無事生還した事実をもとにした人間ドラマ。

この話の存在は知っていて、観たいと思っていた。
墜落によって怪我をした者、体力のない女性などから一人また一人と死んでいく。自分の大切な友人、家族が死んでいくのを見ているしかない自分。。そしてまた自分も死ぬのではないかという恐怖。。極寒のアンデスの山の中食べるものはなく飢餓状態に陥り、捜索は打ち切られ、そして人々は重大な決断を迫られる。

確かに描写が甘いところもあるが、これが事実だと思うからか批判しようという気持ちにはならない。
人間は誰しも「生きたい」と本能で思うものなのではないか。
そしてそのために人肉を食べなくてはいけないとしたら。。
自分だったら、と思っても自分はそんな体験をしたことがないのだから、分かるはずもない。彼等の気持ちは彼等にしか分からない。だから、彼等の行為を非難できない。

人肉を食べるということは、生存者達にとって大きなターニングポイントだった。
彼等を食べた以上、絶対に生きなければならない。生きて山を下りるんだ。それまで以上にそう思ったのではないか。
実に72日の遭難生活。スポーツマンの若者だったから助かったのだろうが、その生命力には驚くばかりだ。標高3000メートル以上の山。。夜は気温がマイナス40度にもなる世界。。
十分な食べ物があったとしても、生きられる環境なのか?彼等の生還は、本当に奇跡以外の何ものでもなかったことが分かる。これは人肉を食べたことをどうこう言うのではなく、純粋に生還した奇跡のドラマとして考えるように作ってある映画だし、それで良いと思う。
メイキングを見ると納得できるだろう。彼等の葛藤そして封印された記憶。
撮影隊にアドバイザーとして参加した彼等の、封印した記憶と20年振りに向き合おうと決心したその勇気が凄い。

映画は途中よりも、エンディングが印象的だった。

ヘリに向かって振り上げた手に握られた小さな赤い靴。
流れるアベマリアと空から見たアンデスの山々。。果てしなく神々しく、静けさに満ちていた。
とても美しくもあり、そして悲しく恐ろしい山々だった。


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by suga_m | 2005-06-15 08:43 | 映画
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